名古屋の歴史を、一杯のカクテルに。コンラッド名古屋「HOUSE OF MON」で過ごす夜
2026年7月、名古屋・栄に開業した「コンラッド名古屋」。その最上階に位置するルーフトップバー「HOUSE OF MON(ハウス・オブ・モン)」では、名古屋ゆかりの三英傑をテーマにしたカクテルを楽しめる。宿泊者以外も利用できるこのバーで、歴史と現代の感性が交わる特別な夜を過ごしてみた。
三英傑の物語が息づく、天空のバー
2026年7月31日、東京、大阪に続く国内3軒目のコンラッドとして開業した「コンラッド名古屋」。その40階にあるのが、ルーフトップバー「HOUSE OF MON」だ。ホテルに宿泊していなくても利用できるため、名古屋観光の締めくくりや、特別な日の一軒としても訪れたい。
バーの名前にある「MON」は、日本の「家紋」に由来する。店内には織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三英傑にちなんだ家紋のデザインが取り入れられ、歴史的なモチーフを現代的なインテリアへと昇華させている。
エントランスを入って左手にある鳥のオブジェも、そのひとつ。「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」の信長、「鳴かせてみせようホトトギス」の秀吉、そして「鳴くまで待とうホトトギス」の家康。それぞれの性格を表すものとして知られる句から着想を得たアートだという。
さらに、バーカウンターの上には名古屋の街並みを表現した照明が設けられている。歴史を感じさせる装飾でありながら、空間全体はスタイリッシュ。名古屋という土地の個性を、さりげなく楽しめるバーに仕上がっていた。
名古屋の歴史を表現する、ミクソロジストの一杯
バーの責任者を務めるのは、世界各地のホテルで経験を積んできたミクソロジスト、ボブ・ルイソン。ミクソロジストとは、素材の組み合わせや抽出方法、香り、温度などを探究し、新しいカクテルの味わいを生み出す専門家のこと。伝統的なカクテルの技術に加え、料理や科学的な発想も取り入れながら、一杯の完成度を追求する。
HOUSE OF MONでは、そんな彼が名古屋の歴史や風土から着想を得たオリジナルカクテルを考案している。定番のカクテルやウイスキー、ワインなども豊富に揃うが、初めて訪れるなら、ぜひ三英傑にちなんだ一杯を試してほしい。
テーブルに着くと、ブックタイプのメニューとともに黒い木箱が運ばれてくる。箱を開けると、中にはオリジナルカクテルを紹介するカードが。まるで歴史の物語を一枚ずつめくるような演出に、注文する前から期待が高まる。今回選んだのは、豊臣秀吉にゆかりのある「サルの出世」と「千利休」の2杯だ。

「サルの出世」──天下人へと駆け上がった秀吉の物語
織田信長に仕え、やがて天下統一を成し遂げた豊臣秀吉。低い身分から出世した人物として知られ、「猿」というあだ名で語られることも多い。もっとも、信長が実際にそう呼んでいたかについては諸説ある。
そんな秀吉の立身出世を思わせるカクテルが「サルの出世」だ。ベースとなるのは、日本を代表するブレンデッドウイスキー「響」。そこに白味噌と梅を組み合わせている。ウイスキーの豊かな風味に、白味噌のまろやかさと梅のアクセントが重なり、奥行きのある味わいに。意外性のある素材の組み合わせながら、それぞれが調和し、日本らしい味覚を楽しませてくれる一杯だった。
「千利休」──茶の湯の世界をカクテルに
もう一杯は、茶人・千利休をテーマにした「千利休」。千利休は、織田信長や豊臣秀吉に仕え、茶の湯の発展に大きな影響を与えた人物。秀吉のもとでは茶頭として重用され、政治的にも文化的にも重要な役割を担った。しかし、両者の関係はやがて悪化し、1591年、利休は秀吉から切腹を命じられる。その理由については、現在もさまざまな説がある。
そんな歴史を持つ利休の名を冠したカクテルは、緑茶の風味が印象的。グラスの縁にはワサビ風味の塩が添えられており、口に運ぶと、緑茶の穏やかな味わいにピリッとした刺激が加わる。落ち着いた茶の香りと、意外性のあるアクセント。日本の茶文化を、現代的なカクテルとして楽しめる一杯だ。
名古屋の街に残る、三英傑の足跡
HOUSE OF MONで三英傑の物語に触れたなら、名古屋の観光名所にも目を向けてみたい。
そのひとつが、古くから信仰を集める熱田神宮だ。大きな木々に囲まれた参道は、足を踏み入れた瞬間から街の喧騒が遠のき、神聖な雰囲気に包まれる。参拝を終えてそのまま帰るのではなく、ぜひ注目してほしいのが境内に残る「信長塀(のぶながべい)」。1560年、織田信長は桶狭間の戦いに出陣する際、熱田神宮で必勝を祈願した。そして勝利を収めた後、そのお礼として築地塀を奉納したと伝えられている。土と石灰を油で練り固め、瓦を幾重にも積み重ねたこの塀は、日本三大土塀のひとつにも数えられる。
一方、徳川家康ゆかりの名所といえば名古屋城。1610年、家康は九男・義直の居城として築城を開始した。のちに尾張徳川家の居城となり、名古屋の発展を支える重要な拠点となった。バーで出会った歴史上の人物たちの足跡が、今も街のなかに残っている。そんなつながりを知ることで、名古屋観光の楽しみ方も少し広がるはずだ。
お茶の新たな楽しみ方「IBUKI Bottled Tea」
アルコールが苦手な人や、お酒を控えたいときにおすすめなのが、コンラッド名古屋オリジナルの「IBUKI Bottled Tea(いぶきボトリングティー)」だ。茶葉本来の香りや旨味を丁寧に引き出したボトリングティーで、一般的なペットボトルのお茶とはひと味違う、繊細な味わいを楽しめる。
ワイングラスに注いでゆっくりと香りを楽しむなど、カクテルとはまた違った形で、特別な一杯を味わえるのが魅力。お酒を飲まなくても、バーテンダーが生み出すカクテルや洗練された空間とともに、HOUSE OF MONならではの時間を楽しんでほしい。
栄の夜空に近づく、オープンエアのテラス
HOUSE OF MONのもうひとつの魅力が、40階に設けられたオープンエアのテラス席だ。地上40階という高さにありながら、テラスには屋根がなく、頭上には遮るもののない夜空が広がっている。眼下には名古屋の街の明かり。高層階ならではの眺望に加え、肌に触れる夜風まで楽しめるのが、この場所の魅力だ。
屋内の洗練された空間でカクテルを味わうのもいいけれど、グラスを片手にテラスへ出れば、また違った開放感に出会える。栄の街を見下ろしながら、名古屋の夜空を身近に感じる。そんな時間こそ、ここで味わいたい贅沢なのかもしれない。
一杯から始まる、名古屋の新しい楽しみ方
HOUSE OF MONで過ごす夜は、単にお酒を楽しむだけでは終わらない。三英傑をモチーフにした装飾、歴史上の人物を表現したカクテル、そして40階から望む名古屋の夜景。
グラスを傾けながら土地の物語に触れれば、昼間に歩いた街の景色も、少し違って思い出される。ホテルの宿泊者はもちろん、名古屋を訪れた旅行者にも足を運んでほしい一軒。歴史と現代が交わる空間で、この街ならではの夜を楽しんでみてはいかがだろうか。
INFORMATION
HOUSE OF MON(ハウス・オブ・モン)
所在地:コンラッド名古屋 40階
住所:愛知県名古屋市中区錦3丁目25番1号 ザ・ランドマーク名古屋栄
アクセス:地下鉄東山線・名城線「栄駅」直結
営業時間:17:00〜24:00(フードL.O. 22:30)
定休日:月曜日・火曜日
電話:052-202-8880
ドレスコード:スマートカジュアル
利用条件:ホテル宿泊者以外も利用可能。予約は宿泊者のみ受付(空席状況による)。宿泊者以外は来店順で案内。
年齢制限:10歳未満は利用不可。20歳未満は20:00まで。
公式サイト:https://conrad-nagoya.hiltonjapan.co.jp/restaurants/house-of-mon
※営業時間やメニュー、利用条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。



















